マルチ商法は悪質! 日本アムウェイ 14日から勧誘可能に 違法行為を警戒する声も

我々がまだ大学生であった約40年前にも、宗教の勧誘活動と並んで、悪質なのがマルチ商法でものを売る、陳旧な言葉でいうと「押し売り」みたいな商法が大学生を中心とした若者をターゲットにして流行っていた。

宗教の勧誘には一線を引いている人でも、洗剤や食品、化粧品等の販売の話となると軽く聞いてしまう。また、先輩たちに誘われてイベントに参加したら、実はマルチ商法の勧誘だったりした。

4月は新入生をターゲットに下宿に来て商品を買わされ、さらに友人にも売るように責められる。美人に誘われコーヒー飲みに行ったら、突然数十万円もする百科事典の契約を迫られたりした。

 

現在は、こんな原始的な方法ではない。消費者庁は次ように述べている。

消費者庁取引対策課の担当者は「サークル活動やSNS、マッチングアプリなどを通じ、別のイベントやビジネスなどに勧誘されたら十分に注意してほしい。困ったら消費者ホットライン(電話188)に相談を」と呼び掛ける。マルチ商法は契約書面を受け取った日から20日間以内であれば、原則として無条件で契約を解除できる。 

マルチ商法に詳しい立正大教授(社会心理学)は「4月は新しい人間関係ができる時期で、マルチ商法の勧誘が活発になる。春に就職した人が思ったより稼げないと分かって、サイドビジネスとしてマルチ商法を始めるケースもある。一方で、大学に入学して1人暮らしを始めたり、地方から上京したりする時期で勧誘を受けやすい」と注意を喚起している。

 

マルチ商法(連鎖販売取引)とは

 

悪質な勧誘行為は後を絶たないマルチ商法。

東京都は3月、大学生らを勧誘し、借金をさせて情報商材入りのタブレット端末の販売や、ビジネススクールの契約締結をさせたなどとして、「パイオニア」や「プレジデント」など違法なマルチ商法を展開した3社に特定商取引法に基づく9カ月の業務停止命令を出している。

一方、家庭用日用品などの連鎖販売取引(マルチ商法)を展開する「日本アムウェイ合同会社」(本社・東京都)は13日、違法な勧誘行為をしたとして消費者庁から命じられた6カ月の取引停止期間が終了する。

 停止中は会員間のみで取引が可能だったが、14日以降は会員以外への勧誘が再開できる。新年度が開始したばかりの時期と重なり、専門家や消費者庁はイベント開催などにつけ込んだ違法な勧誘行為が活発化しないか警戒している。

アムウエイは6カ月の取引停止期間が終了したことを受け、「一部業務停止命令期間終了に伴う新規会員登録業務再開および業務改善のお知らせ」と題した文書をホームページで発表した。再発防止に向けた取り組みを公表した形をとっているが、マルチ商法における違法な勧誘行為を撲滅できるかは不透明だ。

なぜなら、アムウェイを含むマルチ商法は一般的に、違法な勧誘行為について企業側が周知徹底したとしても、勝手に会員が違法な勧誘をしかねない。そのような特性を考えると、半年間の業務停止を受けたからといってアムウェイの会員の皆が法令順守するようになるのかは甚だ疑問。

4月は入社・入学シーズンで、人と人との接触が増える時期。国内初の感染確認から3年がたった新型コロナウイルスの自粛ムードも収まりつつある。歓送迎会などを名目としたイベント開催が目白押しになり、大学生や新入社員にとっては気をつけなければならない年となる。